次のバブル
まだわたしが子供の頃であった。
御飯を食べ終わって<ごちそう様!>と言って立ち上がろうとすると、父が激しい口調で言った。
<御飯粒がまだお茶碗についているよ。
もったいない。
きちんと最後まで全部食べなさい! >。
1960年代の頃、それは日本のどの家庭でも見られたごく当たり前の光景であった。
当時の子供たちはこうして<もったいないの精神>を親から教え込まれて育ったのである。
ではこの<もったいないの精神>は一体どこから生まれたのであろうか。
考えてみるとそれは<戦後の食料難>という背景から生まれたものである。
第2次世界大戦が終ってみると、国敗れて人々は食べるものがない状況に直面した。
多くの家では、急いで新たに開墾したりして田畑を作り、自家栽培で米や野菜を作って食べた。
それでも足りずに、山菜を取って来て栄養を補ったのである。
春のツクシやワラビ取りの思い出が鮮明に蘇ってくる。
その他にカキ、モモ、タケノコ、キノコ、ミョウガ、フキ、サンショウ、セリ、ヤマイモなどを取って来て食べた。
更に多くの家では鶏やヤギなどを飼って卵とかミルクも自家でまかなおうとしていた。
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さて、その<もったいないの精神>は現代の日本にまだ生きているのだろうか。
もしかすると<勤勉の精神>と一緒に忘れ去られてしまったのではないだろうか。
賞味期限の過ぎた弁当とか食料が毎日、無駄に捨て去られているという現実がある。
まだ十分に食べられるモノがポイポイと無残に捨てられているである。
テレビを見ると芸能人が大きな口を開けて色々なモノを食べるシーンが次から次へと映し出される。
あたかも食物が自由に手に入る状態がこのままいつまでも続くかのように・・・。
あたかも食物が無限に輸入できるかのように・・・。
何故日本人はこのような幻想におぼれてしまったのだろうか。
<多くの日本人にとって食物がないという経験はした事がない>というのが原因の一つとしてあげられるであろう。
食物がないという事が一体どういう事なのかを想像する事ができないのである。
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この頃、おもしろい本を読んだ。
■<次のグローバル・バブルが始まった!
(山崎養世著、朝日新聞出版)>。
この本で山崎養世さんは以下のような意味の事を述べている。
●わたし達はアメリカのサブプライム(不動産バブル崩壊)問題に目を奪われているが、むしろその先にある問題に注意を向ける必要がある。
●その問題とはアメリカとか日本の低金利が次のグローバル・バブルを生み出しているという点である。
●不景気の日欧米から<余った金>がどんどんインド、中国、ベトナム、ブラジル、トルコ、中東、東欧、ロシアなどの高金利で高度成長を続ける新興諸国に流れ出ていく現象が続くだろう。
●もはや日欧米は世界経済のエンジンの役目を果たす勢いはない。現在の世界経済は高度成長を続ける新興諸国にリードされるようになっている。
●今までの円キャリーに加えて、ドルキャリーが巨大な規模で行われ、それが新興諸国に投入され、その結果、世界的な規模のバブルが生じつつある。
新しく30億人規模の人たちが資本主義化して、先進国化を目指して日々、怒涛の前進を続けているのである。
●その結果、わたし達は今、世界的なインフレ時代を迎えようとしている。
●特に食料、エネルギー、水などの諸資源が不足して、世界中に紛争が多発するようになるだろう。
●そして巨大なグローバル・バブルが破裂した時、世界的規模の崩壊に現在の世界経済は耐えられないかもしれない。
●でも100年単位で見ると新興諸国の成長はバブルを乗り越えて続いて行くであろう。誰にもそれを止める事は出来ない。
全体的に見て、その通りであるとわたしは思う。
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<飽食の時代>などと日本で騒いでいるうちに、世界の舞台は次のシナリオに向かって急速に進んでいるのである。
2015年。
東京のある家庭の様子。
<おいこら、味噌汁を残すやつがあるか。最後まで食べなさい!もったいない!>
ふと外を見ると、家の庭やベランダには野菜栽培用のプランターがぎっしりと所狭しと並べられている。
ニンジン、ジャガイモ、ナスビ、キュウリ。
その家では、ほとんど全部の野菜が自家栽培でまかなわれているのである。
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